製造業や加工業、食品メーカー、衣類関係のメーカーさんも同じですが、デジタル化の流れや消費者行動の変化によってECでの直販(DtoC)をスタートされるところが増えています。しかし、実際にスタートしてみると思ったような結果にならないところが多く、経営者や責任者の方はうんざりされていることだと思います。

でも、うんざりしつつも何とか結果を出そうと、ECのマーケティングについて学び始めると「CPA」「LTV」という話が出てきたり、広告運用における知識が必要に感じられたり、SEO対策の重要性を知り、「もう、どうしていいのかわからない」そんな気分になっておられる会社も多いはずです。そこで今回は、メーカーさんによるEC直販をサポートしてきた経験から、EC売上を伸ばすために「まず解決するべき3つの課題」についてお話していきます。

ちなみに、これからECサイトの導入を考えておられる担当者の方にも知っておいてほしい内容です。

ECサイトの売上を伸ばすために必要な3つのこと

ECサイトの売上を伸ばすためには、次の3つが重要だと言われています。

  • 訪問者の流入増加
  • 広告運用を最適化してCPAを下げる
  • LTVをアップするリピート戦略の導入

これらは間違っていません。そのため、この3つの数字を向上させるためにデジタルマーケティングを学ぶ方が増えています。しかし、ここで不都合な真実としてお伝えしなければいけないのですが、いくらデジタルマーケティングを学んだところで、この3つがアップすることはありません。その理由は、次からお話する「3つの課題」が解決されていないからです。

組織

EC売上をアップさせるために大切なことの1つ目は、ECを動かす「組織の成長」です。どのような会社でも同じですが、組織が成長しないのに事業が成長することってありませんよね?

ECサイトも事業のひとつですから、EC事業に関わる組織は成長しなければいけません。ここを忘れたまま、とにかく「ECサイトを作れば売上アップする」と考えていては上手くいきません。

人材

ECに関わる人材は、御社の中でどのようなポジションの方でしょうか。また、他にどのような業務を担っている方でしょうか。多くのメーカーさんの場合、ECに関わっている人材は兼務や片手間ということが多いです。しかし本気でEC事業で売上をアップしたいなら、行き当たりばったりの運営をすることになりやすい兼務や片手間ではなく、限りなく専属になるEC事業担当チームを組織する必要があります。

EC事業チームを会社で立ち上げることで、まわりにも「本気でECを運営する」というメッセージが届きますから、全社での協力も得られやすくなります。

仕組み

ECでの運営には仕組みが必要です。流行っていると言われる方法を行き当たりばったりで試す。自己流で運営する。こういう方法では良い結果を引き寄せづらくなります。きちんとゴール設定し、ゴールに向けて進める仕組みを作りましょう。必要なら外部の専門家と相談しながら月2回くらい定例会議を開き、EC事業担当チームが進むべき目標と活動内容を明確にしていきましょう。

目標とやるべき事が明確になるだけでも、運営の仕組み化が進みます。私のクライアント様でも定例会議を開くことで次のような感想が出てきました。

EC店長

次に何をすれば良いのか明確になって迷うことがなくなった

迷うことが減ると本来やるべきことに集中できるので、EC運営がスムーズに進んでいきます。

組織づくりはマインドセットから

ECサイトを立ち上げ売上アップを目指すなら、組織の成長が大切だとお話しました。では、具体的に組織を成長させるためには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょう。

私がこれまでの経験から感じているのは、組織づくりで重要になるのは「マインドセット」だと考えています。ボンヤリとした目標の組織では責任の所在が曖昧になり、最後には「誰も本気でやってない」ことになってしまいがちです。そうすると社内で重要だと言われていたEC事業も、全社的に見ると優先順位が下がってしまい「やってもやらなくても同じ」扱いになります。

このような残念なことへ向かわないためには、最初に明確なマインドセットをするべきだと思います。

  • EC事業が必要な理由は?
  • EC事業で目標とすることは?
  • EC事業を行うことで得られる未来とは?

目標設定と同時に、それぞれの目標へ向かうための心構えをチームで共有する必要があるということです。

やっていることが間違っているかも?

自己流でやっている対策や、あちこちネットで探して手に入れた継ぎ接ぎの情報を元にやっている対策は、もしかすると的外れかもしれません。

理解しておきたい消費者行動

ECを運営する上で大切なことは消費者行動です。ECでの消費者はリアル店舗での行動とは少し違っています。

検索

ECでの新規顧客は目的があってお店のサイトへやってくることはほとんどありません。実際には、自分の悩みや不安が解決できそうな方法を提供しているショップの商品を検索することから始めています。

検索結果

検索した結果から「何となく解決してくれそう」と感じたショップの商品をクリックします。この行動は全く論理的ではありません。どちらかというと直感や偶然見つけたところを訪問しているだけと言えるでしょう。

商品ページ

偶然見つけたショップの商品を見ます。このとき最初に目にするイメージが重要です。一瞬で購入するかどうかが決まります。ファーストビューで「購入しようかな?」という気持ちが出てこそ、詳細な説明文が読まれます。

このような行動になっていることを覚えておきましょう。リアル店舗での行動とは大きく違っているということです。

大切なのはサイドバー

ECでの消費者行動が理解できると、ECサイトで重要になるポイントが自ずと見えてきます。最初に行動するのは「検索」です。そして検索結果から商品をクリックします。ということは、トップページはほとんど見られていないということになります。

そのためトップページを頻繁に更新して変化を持たせるよりも、全てのページで目にする確率の高い「サイドバー」を強化することで、自社EC内の回遊率を向上させ、より購入される機会を増やすことが大切です。

リソースを一極集中

自社ECサイトとモール型ECサイト(楽天市場やYahoo!ショップなど)を同時に運用されているところもあります。この方法、仕組みによってはプラスに働きますが、しっかりとした運営体制が出来ていない時期では、人的リソースがばらばらになってしまいマイナスの結果を引き起こすこともあります。

そのため多店舗展開する場合には、しっかりとした運営体制が構築できているかどうかを考えてみましょう。もし、構築できていない時期なら、まずはモール型ECサイトへ一極集中するのがおすすめです。一時的に自社ECサイトを停止するくらいの気持ちが必要です。そしてモール型ECサイトでの売上が向上し、運営体制が出来てきた段階で自社ECサイトを再スタートするように計画しましょう。

自社ECサイトの立ち上げタイミングを知ろう

これまでの経験から申し上げますと、モール型ECサイトをスタートし売上が向上してから、3年目くらいに自社ECサイトを立ち上げるのが良いタイミングです。モール型ECで運営体制が出来上がり、社内でもEC事業が認められているタイミングなら、自社ECを立ち上げても広告を出すことができるので比較的早く集客ができます。

また、運営の仕組み化もできているので、新しく自社EC専属の担当者を任命に、モール型ECと自社ECの両方からEC事業を発展させることも可能になります。

さいごに

ECサイトの売上が伸びないメーカーさんには、今回お話した課題を解決出来ていないケースが多いです。この課題を解決しないと、EC事業は成長できないんですね。というのも、次のことが会社から承認されにくいからです。

  • 広告出稿
  • 担当者の増員
  • 購入されやすいキャンペーン企画

どれも「お金」が関わることなので、先行きが不透明な事業に「よし!やろう」とは言ってもらえないのです。ここで躓くと時間と労力ばかりかかり成果が感じられなくなり、結局は中途半端に終了。会社の評価としては「ECはダメだね」ということになり、企業の将来性を一つ握りつぶしてしまったことになります。

もしあなたが本気でEC事業を成長させたいと考えておられるのなら、今回お話しました課題を解決してください。その後にCPAやLTVを考えてもらいたいと思います。