群盲象を評す(ぐんもうぞうをひょうす)。

この言葉は、私が基幹システムをはじめ、ECサイトの設計・運営、WEB事業の企画や立ち上げなど、どのような場面に入っても最初に思い返す言葉です。

『群盲象を評す』とは、一匹の象を6人の盲人たちが触れ、王が6人の盲人たちに「何だと思うか」と問うことから始まります。

  • 足を触った盲人は「柱のようです」と答えました。
  • 尾を触った盲人は「綱のようです」と答えました。
  • 鼻を触った盲人は「木の枝のようです」と答えました。
  • 耳を触った盲人は「扇のようです」と答えました。
  • 腹を触った盲人は「壁のようです」と答えました。
  • 牙を触った盲人は「パイプのようです」と答えました。

これらの答えを聞いた王は、次のように言いました。

「あなた方は皆が正しい。ただあなた方の話が食い違っているのは、あなた方が象の異なる部分を触っているからだ。象はあなた方の言う特徴を全て備えているのです。(出典:Wikipedia)

この話、6人の場合もあれば10人の盲人たちの場合もあります。全てに共通しているのは、同じ象を見えないまま、異なる部分を触っているために、それぞれの主張が異なりお互い譲らないというところでしょう。

しかし、象という大きな生き物が見えていると、それぞれの主張は全て正しいことがわかります。このようなお話なのですが、これはプロジェクトを始めるとき、最初に肝に銘じておくべき話だと私は思っています。

というのも、プロジェクトとは複数の人で動かしていくことになります。そうすると、最初は「象」を見ていたはずなのに、少しずつ自分の触っている部分だけについて主張をすることが増えてくるのです。すると触っている部分によって主張が異なりはじめ、表現が変化し、お互いの話が通じなくなる。

現場では、このようなことは常に起こります。ですから、私はいつも、「今主張している人は象のどの部分を触って言っているのか」を考え、他の部分を触っている人にもわかるよう伝えることに注意をおいています。同じ真実が目の前にあっても、人は自分の仕事を始めると、この話の盲人たちのようになってしまいがちです。

仕事を突き詰め、やりきるときには、それぞれが盲人となる瞬間も必要だと思います。しかし、同時に

  • 自分が何かを主張するときには
  • 誰かが何かを主張しているときには

「象」のどの部分に触った話をしているのだろうと、少し考えてみるだけで、プロジェクトはかなりスムーズに進みます。

基本的なことですが、いつも頭の片隅においておきたい話です。(ちなみに私は、プロジェクト単位にノートを作っているのですが、そのノートの最初のページに「象と盲人」の絵を貼っています。)

追伸:
誰かが発言した意見を最初から否定するのも、この話の盲人になっている瞬間だと言えます。発言や意見を最初から否定したい人は、居酒屋で繰り広げられる「絶対にそうはならないし責任も問われない」サラリーマンの「オレだったらね」話を楽しんでおくのがいいかと。でもこのコンテンツをわざわざ探してお読みの経営者の方には、こういう人はいらっしゃらないとおもいます。