ご存じのように大阪・黒門市場は天下の台所と呼ばれていました。しかし、近年の訪日客や日本の観光客増加により、昔から通っていた「近くのお客様」を蔑ろにしていました。
- 従来のようにゆっくり買い物できない
- どんどんと高くなる値段
- 値段に反して下がる品質
放っておいてもお金が降り注いできて簡単に稼げる状態になったこと。二回目のない観光客なら疎かな対応でも販売できたこと。そして忙しいという理由で、これまでのお客様への対応が疎かになったこと。
こうしたことがジワジワと真綿で首を絞めるように水面下で進んでいたところへ、新型コロナの影響で、ある意味バブルが弾けました。
そして1年が経過した2021年、地域住民への配慮がされていなかったことで、商店街はどんどんとシャッターが降りています。結果として「めちゃくちゃ反省点がある」と、商店街の方は振り返っておられるようですが、既に気がつくのが遅すぎたと私は感じています。また、これは私個人の感じ方ですがインタビューなどを見ると言葉の端々に「またインバウンドになって儲かるだろう」という不確定な予測も感じられます。
おそらく新型コロナが収まると、訪日客が増加し黒門市場は活気を取り戻すことでしょう。そして、今「反省点がある」と言っていることは忘れ去られ、観光客相手の商売が繰り返されることは間違いありません。
賢い専門家や研究所の方達は、黒門市場の今後に必要なこととして以下の3つを上げておられました。
- もともとの地域の市場
- 日本人観光客向け
- インバウンド向け
このように3つのセグメントに分けてマーケティングをすることが重要。このようにおっしゃっていますが、この3つのマーケティングを器用に分けてできるのって、かなりの大手企業ぐらいだと思います。
現実的には商店街だけの力では難しいですから(儲かるところに力を注ぎますから)、大手広告代理店などが介入してマーケティングをするのでしょう(お金があればですが)。
でも、今回のポイントで肝心なことはマーケティングやセグメントの話ではなく「一度離れたお客様は戻ってこない」という事実です。
私のまわりにも「黒門は二度と行かない」「詐欺みたいな店ばっかりや」とおっしゃる方がいらっしゃいます。こうなるといくらマーケティングで「地域の市場」を戻そうとしても難しいです(人の感情を変えるのは簡単ではありません)。
できるとすると「以前の黒門を知らない人」をターゲットにして新しく流入させることでしょう。
さて、黒門市場の状態は学びのポイントでもあります。特にECサイトの収益構造の学びになります。
- 問い合わせへの対応が良くない
- 品質の良くないものも売る
- 一回だけだからと手抜きで売る
こうしたことを繰り返しているECサイトは、短期的には儲けられるでしょう。そのためECサイトをオープンして、半年くらいで一気に稼いで閉店するなら正解です。
でも、長くECサイトで安定した収益を見込みたいのなら、黒門市場と同じようなことになってはいけません。黒門市場の現状から、やるべきことは見えています。
既存顧客を育てて大切にする
これしかありません。
- あなたのECサイトのリピート率はいくらくらいでしょうか?
- 新規顧客をリピート客へ育てられているでしょうか?
- 数ヶ月に一度は買い物をしてくださるでしょうか?
- 既存顧客とコミュニケーションを取っているでしょうか?
- 新規顧客ばかり得するキャンペーンになっていないでしょうか?
ECサイトの収益向上のポイントはリピートです。私たちは黒門市場の栄枯盛衰から学ぶことが沢山あります。